天宇受売命(アメノウズメ)とは?ご利益・天岩戸神話・代表神社を徹底解説

amenouzu

天宇受売命(あめのうずめのみこと)は、芸能・神楽の起源とされる日本神話最古の踊り子であり、天津神に属する女神です。天照大御神が天岩戸に籠もり世界が闇に包まれた際、神々の前で大胆な踊りを披露し、世界に光を取り戻した英雄的な女神として古事記・日本書紀に記されています。

目次

この記事でわかること

  • 天宇受売命のご利益と芸能守護の神話根拠
  • 天岩戸神話・天孫降臨など主要なエピソード
  • 天宇受売命を祀る代表的な神社(椿大神社・車折神社・荒立神社など)

天宇受売命の基本プロフィール

名前の意味・読み方

「天宇受売命」は「あめのうずめのみこと」と読みます。「天(あめ)」は高天原、「ウズメ」は「うず(渦・強い生命力)」を持つ女性を意味するとされます。漢字の「宇受売」は「天の強い女性神」というイメージを体現しています。

古事記では「天宇受売命」、日本書紀では「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」と表記が異なります。また天孫降臨の神話以降は「猿女君(さるめのきみ)」の祖神として知られるようになりました。

性別・外見・象徴

女神です。古事記の天岩戸神話において、胸元をはだけ、裳を踏みたわめて踊る大胆な姿が描かれており、日本神話の中で最も躍動的なビジュアルを持つ女神の一柱です。象徴は踊り・笑い・花・朱色・舞扇です。

神話上の系譜

項目内容
正式名称天宇受売命(古事記)/ 天鈿女命(日本書紀)
別名天宇受賣神・猿女君の祖神
神格芸能の女神・神楽の祖・縁結びの神・神事の女神
性別女神
出典古事記・日本書紀
所属天津神
父神天太玉命(あめのふとだまのみこと)
母神天比理刀咩命(あめのひりとめのみこと)
配偶者猿田毘古神(さるたひこのかみ)
代表神社佐瑠女神社(三重)・椿岸神社(三重)・芸能神社(京都)

天宇受売命のご利益

※以下のご利益は、古来からの信仰上の伝承に基づくものです。

芸能上達・技芸上達

天宇受売命最大のご利益です。天岩戸の前で即興の踊りを披露し、神々の笑いを引き起こして天照大御神を岩戸から誘い出したという神話から、あらゆる芸能・芸事の守護神とされています。俳優・歌手・ダンサー・芸術家・音楽家・スポーツ選手など、表現や技を磨く人々が参拝します。

縁結び・良縁成就

天孫降臨の際、天界(高天原)の神であるアメノウズメが、地の神(国津神)である猿田彦と交渉し橋渡しをしたことから、天津神と国津神という異なる世界を繋いだ神として縁結びのご利益があるとされています。人と人、人と仕事など広い意味での良縁を結ぶ力があるとされます。

夫婦円満

猿田彦命と夫婦神として結ばれたことから、夫婦円満・愛情成就のご利益があるとされています。伊勢の猿田彦神社境内の佐瑠女神社や椿岸神社では、ご夫婦での参拝が縁起が良いとされています。

開運・場の空気を変える力

世界から光が失われた絶望的な状況の中で、恐れることなく明るく大胆に踊り場の空気を一変させた神話から、苦境や閉塞感を打ち破る開運の神としての信仰もあります。

勝負運・度胸・コミュニケーション

神々が驚く中で怯むことなく踊り続けたアメノウズメの姿から、度胸・チャレンジ精神・場を制するコミュニケーション能力に縁のある神様とされています。プレゼン・オーディション・発表の場での成功祈願にもご縁があるとされます。


天宇受売命が登場する神話・エピソード

amenouzu-2

天岩戸神話:世界を救った踊り

須佐之男命の乱行に恐れをなした天照大御神が天岩戸に籠もり、世界は完全な闇に包まれました。八百万の神々が天安河原に集まり対策を協議する中で、思金神(オモイカネ)が一つの策を考えます。

まず神々は賑やかに準備を始めました。鶏を鳴かせ、八咫鏡をつくり、玉飾りを作り祝詞を唱えます。そしてその中心で天宇受売命が岩戸の前の桶の上に立ち、胸元をはだけ、裳(も)を踏み垂らして踊り始めました。その踊りはあまりにも大胆で生命力あふれるものであり、八百万の神々が一斉に笑い声を上げました。

岩戸の奥で気配を感じた天照大御神は「こんな暗闇の中でなぜ神々は笑っているのか」と不思議に思い、わずかに岩戸を開けます。すると光の隙間から天照大御神の顔を見た天手力男神(アメノタジカラオ)が岩戸を引き開け、世界に光が戻りました。

天宇受売命の踊りこそが、世界を救った瞬間でした。これが日本の神楽・舞・芸能の起源とされています。

天孫降臨:猿田彦との交渉と「猿女君」の由来

天照大御神の孫・邇邇芸命(ニニギ)が地上に降臨しようとした際、高天原と葦原中国の境に見慣れない神が現れました。それが猿田毘古神(サルタヒコ)でした。その怪異な姿に他の神々が近づけない中、天照大御神と高御産巣日神はアメノウズメに「あの神が誰なのか確かめよ」と命じました。

アメノウズメは臆することなくサルタヒコに近づき、その名と目的を問いただします。サルタヒコは天孫の降臨を道案内するために来た国津神であると答え、ニニギの天孫降臨は無事に成し遂げられました。この功績からアメノウズメは「猿女君(さるめのきみ)」と呼ばれるようになり、宮廷祭祀で神楽を舞う「猿女氏(さるめうじ)」の祖神となりました。

猿田彦との結婚と荒立神社

天孫降臨を無事に導いたサルタヒコは故郷の伊勢の地に帰ることになりましたが、アメノウズメはその名前を引き受けた縁からともに伊勢へ向かい、サルタヒコと夫婦神として結ばれました。二神が新居を構える際、周りにあった荒木で急いで宮を建てたとされ、その地が現在の宮崎県高千穂の「荒立神社」の由来となっています。

神話から読む性格とメッセージ

天宇受売命は「行動する勇気と笑いの力」を体現する女神です。世界が闇に包まれた絶望的な状況で泣いて蹲るのではなく、自ら桶の上に立ち踊り笑わせた。恐ろしい外見の神に誰も近づけない中で、一人進み出て言葉を交わした。アメノウズメの姿は、どんな困難な場面でも「まず動く・まず笑う」ことが世界を変えるという現代的なメッセージを伝え続けています。


天宇受売命を祀る神社一覧

総本社・代表神社

佐瑠女神社(さるめじんじゃ)猿田彦神社 境内社

項目内容
住所三重県伊勢市宇治浦田2-1-10(猿田彦神社境内)
参拝時間境内自由(授与所 8:30〜17:00)
アクセス近鉄・JR伊勢市駅より内宮行バス「猿田彦神社前」下車すぐ
主なご利益芸能上達・縁結び・夫婦円満

猿田彦神社の境内に鎮座する天宇受売命専用の社。芸能・芸事の神様として俳優・歌手・ダンサーなど多くの芸能関係者が参拝することで知られています。

椿岸神社(つばきぎしじんじゃ)椿大神社 別宮

項目内容
住所三重県鈴鹿市山本町1871(椿大神社境内)
参拝時間境内自由(授与所 8:00〜17:00)
アクセス近鉄四日市駅より椿大神社行バス50分 終点下車
主なご利益芸能上達・縁結び・夫婦円満・開運

猿田彦大神の総本宮・椿大神社の別宮として建つ神社。天宇受売命とサルタヒコが共に祀られ、縁結び・夫婦円満の聖地として知られています。

関西の主な神社

芸能神社(げいのうじんじゃ)車折神社 境内社

項目内容
住所京都府京都市右京区嵯峨朝日町23(車折神社境内)
参拝時間9:30〜17:00
アクセス嵐電「車折神社」駅より徒歩1分
主なご利益芸能上達・技芸上達・仕事の成功

芸能人・アーティスト・俳優からの奉納が多いことで有名な神社。境内には著名人が奉納した玉垣が並び、日本でもっとも知名度の高い芸能の神社の一つです。

九州・全国の主な神社

荒立神社(あらたてじんじゃ)

項目内容
住所宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井667
参拝時間境内自由(授与所 9:00〜17:00)
アクセス高千穂バスセンターより車で約5分
主なご利益縁結び・芸能上達・夫婦円満・開運

天孫降臨の後、サルタヒコとアメノウズメが新居を構えたとされる地に建つ神社。高千穂の神社の中でも特に縁結びのパワースポットとして人気があります。

全国のその他の主な神社

神社名所在地主なご利益
戸隠神社 奥社長野県長野市戸隠芸能・開運・縁結び
鈿女神社京都府京都市芸能上達・技芸上達
千代神社宮崎県高千穂町縁結び・芸能

天宇受売命と関係の深い神様

家族・配偶者神

猿田毘古神(さるたひこのかみ)

天宇受売命の夫神。天孫降臨の際に道案内を担った国津神で、「みちびきの神」として知られる。アメノウズメとの縁は天孫降臨の交渉がきっかけであり、その後夫婦として結ばれた。

→【神様図鑑】猿田毘古神(サルタヒコ)については(内部リンク)

天岩戸神話で共に活躍した神様

天照大御神(あまてらすおおみかみ)

天宇受売命が命がけで岩戸から引き出した主神。アメノウズメの踊りと神々の笑い声によって岩戸を開けた。アメノウズメが守ろうとした存在そのもの。

→【神様図鑑】天照大御神(アマテラス)については(内部リンク)

思金神(おもいかねのかみ)

天岩戸神話においてアメノウズメに踊りのアイデアを授けた知恵の神。「天岩戸作戦」の立案者であり、アメノウズメの踊りを引き出した存在。

→【神様図鑑】思金神(オモイカネ)については(内部リンク)

天手力男神(あめのたじからおのかみ)

天岩戸を力ずくで開けた力の神。アメノウズメの踊りで天照大御神が岩戸を開けた瞬間に岩戸を引っぺがした。アメノウズメとの絶妙なコンビネーションで世界の危機を救った。

→【神様図鑑】天手力男神(アメノタジカラオ)については(内部リンク)

邇邇芸命(ににぎのみこと)

天孫降臨の主神。アメノウズメがサルタヒコとの交渉を通じて地上への降臨を可能にした相手。天照大御神の孫であり、日本の皇室の遠祖。

→【神様図鑑】邇邇芸命(ニニギ)については(内部リンク)


よくある質問(FAQ)

Q1. 天宇受売命はどんな神様ですか? 日本最古の踊り子であり芸能の祖神です。天岩戸神話で踊り世界に光を取り戻した女神です。

Q2. 天宇受売命のご利益は何ですか? 芸能上達・技芸上達・縁結び・夫婦円満・開運・度胸がつくなどのご利益があるとされています。

Q3. 天宇受売命を祀る代表的な神社はどこですか? 伊勢の佐瑠女神社・椿岸神社、京都の芸能神社(車折神社)、高千穂の荒立神社が代表的です。

Q4. 天宇受売命と猿田彦はどういう関係ですか? 夫婦神です。天孫降臨の交渉の縁から夫婦となり、伊勢の地に鎮まりました。

Q5. 芸能人も参拝する神社はどこですか? 京都・車折神社の「芸能神社」が特に有名です。多くの著名人が玉垣を奉納しています。

Q6. 古事記と日本書紀で名前が違うのはなぜですか? 古事記は「天宇受売命」、日本書紀は「天鈿女命」と表記します。どちらも読み方は「アメノウズメ」で同じ神です。


まとめ

天宇受売命は「行動する勇気と笑いの力で世界を変えた女神」です。世界が闇に包まれた絶望的な状況の中で、誰よりも大胆に踊り、神々を笑わせ、光を取り戻した。恐ろしい神の前に進み出て言葉を交わし、天と地の橋渡しをした。その姿は2,000年以上を経た今も、表現者・芸術家・すべての「場を変えようとする人」に勇気を与え続けています。

芸能上達・縁結び・開運を祈願したい方は、ぜひ天宇受売命を祀る神社へ参拝してみてください。

次に読む関連記事

  • 天照大御神(アマテラス)とは?(内部リンク)
  • 思金神(オモイカネ)とは?(内部リンク)
  • 天手力男神(アメノタジカラオ)とは?(内部リンク)
  • 猿田毘古神(サルタヒコ)とは?(内部リンク)
  • 天岩戸神話 徹底解説(内部リンク)

参考文献・出典

目次